意匠法(過去問)

H26過去問 弁理士 論文 意匠法 【問題Ⅰ】

 甲は、自ら机に係る意匠イを創作し、その机をビジネスショーで展示した。その後、甲は、意匠イ及びこれに類似する意匠ロについて、意匠登録を受けようとしている。
 一方、乙及び丙は、共同で机に係る意匠ハを創作し、前記ビジネスショーの開催後であって甲の意匠登録出願の日より前に意匠ハに係る意匠登録出願を行った。

 なお、意匠ハは、意匠イには類似せず、意匠ロに類似するものとする。これらの事実を前提として、以下の各設問に答えよ。


 「展示」、「類似」、「共同」への反応力を高めることが重要です。それぞれ4条、10条、準特73条の記載の可能性が高いことをメモし、各設問の答案構成に移ります。「その(意匠イに係る)机をビジネスショーで展示」を答案内で引用しつつ3条(新規性喪失)の当て嵌めをすると高得点に繋がりますので、この部分のチェックも忘れずに。


H26過去問 弁理士 論文 意匠法 【問題Ⅰ】 (1)

(1) 甲が、意匠イ及び意匠ロに係る意匠登録出願を行う際に留意すべきことは何か、理由とともに説明せよ。


 文末表現は「・・・に留意すべきである」とします。

 4条(新規性喪失の例外)と10条(関連意匠)の2軸で、「(ⅰ)通常出願とした場合の問題点→(ⅱ)採るべき措置→(ⅲ)関連手続き」 と流すと説明がスムーズになります。

 項目立て(答案構成)は、以下とすると良いでしょう。 見やすくするためのインデント(字下げ)も忘れずに。

【問題Ⅰ】について、

1.出願時の留意点

 (1)4条の適用

  ①3条1項1号、3号(17条1号)に該当

  ②新規性喪失の例外(4条2項)

  ③手続き(4条3項)

 (2)10条の適用

  ①9条1項(17条1号)に該当

  ②関連意匠(10条)

  ③手続き(様式第2、備考7)


H26過去問 弁理士 論文 意匠法 【問題Ⅰ】 (2)

(2) 甲は、意匠イ及び意匠ロについて意匠登録を受けることができるか、また、乙及び丙は、意匠ハについて意匠登録を受けることができるか、それぞれ理由とともに説明せよ。

 文末処理は、「登録を受けることができる(できない)。」とします。

 意匠イ、ロ、ハ毎に、「(ⅰ)3条1項、2項→(ⅱ)9条」の順で要件検討をすると漏れなく流れも良くなります。なお、3条の2は、意匠イ、ロ、ハが全て「机」なので「一部」の可能性がなく検討する必要はありません。

 項目立て(答案構成)は、以下とすると良いでしょう。インデント(字下げ)もお忘れなく。

2.登録の可否

 (1)イについて、

  ①3条1項、2項

  ②9条

 (2)ロについて、

  ①3条1項、2項

  ②9条

 (3)ハについて、

  ①3条1項、2項

  ②9条


H26過去問 弁理士 論文 意匠法 【問題Ⅰ】 (3)

(3) 甲が、意匠ロに係る机を製造販売しようとする場合の留意すべきことは何か、理由とともに説明せよ。


 文末表現は、「留意すべきである。」としましょう。

 「(ⅰ)原則(23条)→(ⅱ)例外(26条)→(ⅲ)裁定(33条)」と流すと論述の流れが良くなります。

 項目立て(答案構成)は以下とすると良いでしょう。 インデントもお忘れなく。

3.実施時の留意点

 (1)実施の可否

  ①原則(23条)

  ②例外(26条2項後段(抵触))

 (2)裁定

  ①33条1項

  ②33条3項

  ③準特73条3項


H26過去問 弁理士 論文 意匠法 【問題Ⅱ】


 甲は、自ら自転車に係る意匠ニ及びこれに類似する意匠ホを創作した。

 乙は、意匠ニ及び意匠ホを甲から知得し、意匠登録を受ける権利を承継することなく意匠ニ及び意匠ホについて意匠登録出願をし、意匠ニ及び意匠ホについて意匠登録を受けた

 以下のそれぞれの場合において、甲が意匠ニについて意匠権を取得するためにはどのような手段をとる必要があるか、そのような手段をとることにした理由とともに説明せよ。


 「類似」、「承継することなく」への反応力を高めることが重要です。それぞれ10条、26条の2の記載の可能性が高いことをメモし、各設問の答案構成に移ります。

 (1)(2)の設問ともに、「(ⅰ)関連事項規定→(ⅱ)必要となる手段」と流すと論述がきれいになります。


H26過去問 論文 意匠法 【問題Ⅱ】 (1)

(1) 乙の意匠ニに係る意匠権及び意匠ホに係る意匠権がともに存続している場合。

 条文ベースですが、「原則」を書き漏らす可能性の高い問題です。日頃から、「原則」と「例外」のペアでの条文暗記を心がけておくことがポイントとなります。

 「類似意匠同士」ですから、意匠二だけでの移転はできず、類似する意匠ホと共に移転する必要があり、その規定(原則)は22条にあります。22条(同時移転の理由)を書きもらさないよう注意しましょう。


 項目立て(答案構成)は、以下とすれば良いでしょう。 インデントも忘れずに。

【問題Ⅱ】について、

1.ホに係る意匠権が存在している場合

 (1)ホの取り扱い

  ①関連意匠と考えられる(ホ)∵類似

  ②22条1項

 (2)必要となる手段

  ①26条の2第1項(二、ホ)


H26過去問 論文 意匠法 【問題Ⅱ】 (2)

(2) 乙の意匠ニに係る意匠権は存続し、意匠ホに係る意匠権が放棄されている場合。

 初めて問われたなら、「放棄されている→権利の存続期間が一部残存→移転できない→無効審判で遡及消滅させる」ことに気づくには少々時間がかかると思います。他法域(特許法)には無い規定の2項については、事前に、十分な勉強時間をとって、事例研究をしておくことが重要です。

 項目立て(答案構成)は、以下とすると良いでしょう。インデントも忘れずに。

2.ホに係る意匠権が放棄されている場合

 (1)放棄による制約

  ①26条の2第2項(二)

 (2)必要となる手段

  ①無効審判48条3号(ホ)

  ②移転請求26条の2第2項(二)


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