商標「IGZO」は無効?

2015年02月26日 19:24

 記事では『「IGZO」の特許を保有する科学技術振興機構(JST)の申し立てを受けた特許庁が昨年3月、無効審決を出していた。』とあります。

 特許権の存在により、商標登録が否定される規定は何条でしょうか? ・・・そんな条文は無いですよね。

 「インジウムガリウム亜鉛複合酸化物」をIGZOと呼んでいるようです。IPDLの特許公報を対象にテキスト検索してみると、なんと「2558件」がヒットしました。判決通り、液晶パネルの原材料としての一般名称なのかも知れません。

 原材料名だとすると、無効理由は、3条1項3号となります。指定商品との関係で原材料である「IGZO」の商標登録出願は拒絶理由を有し、登録されても無効理由を有することになります。

第三条  
三  その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標


 無効審判を請求されてる商標登録を調べてみると、以下が検索されました。登録番号の「枝番」で、複数の登録商標が存在します。どの商標登録を対象に無効審判を求めたのか非常に興味があります。

<文字商標「IGZO]の登録商標>
登録5451821-111
登録5451821-1121
登録5451821-1122
登録5451821-121
登録5451821-122
登録5451821-211
登録5451821-212
登録5451821-221
登録5451821-222


 さらに記事では『無効とされた商標以外にも、「IGZO」の文字と酸化物の結晶を意味する絵柄を組み合わせたロゴマークや「イグゾー」などの関連商標を保有しており、「業績に影響はない」』との事ですが・・・

 「事業に影響はない」と言いつつ、シャープは最近になって、標準文字でない商標や図形との組み合わせ商標を多数出願しています。無効審決が影響しているのかも知れませんね。

<出願継続中>
商願2014-023267
商願2014-027427
商願2014-027428
商願2014-027429
商願2013-045235
商願2014-023267
商願2014-023268
商願2014-027427
商願2014-105103



 最後に、無効審決が確定すると、第三者による商標「IGZO」の使用が可能になるとあります。シャープはカタカナ商標「イグゾー」の商標権も所有しているため、禁止権の範囲の使用になり、問題があるように思います。

 しかし、使用態様にもよりますが、26条の制限規定が適用されることになるでしょう。

第二十六条
二  当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。次号において同じ。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標



 上記以外にも、シャープの「指定商品」は特徴的です。大変興味のある観点ですが、長文になり過ぎたので、次回以降に回します。

情報ソース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150225-00000059-jij-soci
https://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150225-00000102-jijnb_st-nb