独禁法視点で狙われる条文は?

2015年02月15日 22:10

 「独占を認める特許法」と「独占を排除する独禁法」との間で、条文解釈上、問題が起こり得る状況にあります。

 独禁法(正式名称:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)の目的は、以下です。また、知的財産権法との関係で、21条に除外規定が置かれています。

第1条 この法律は、・・・、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、・・・。

第21条 この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。


 文理上は「権利行使と認められる行為」に該当しない行為は、独禁法に違反する可能性があります。具体的には、特許法で言えば以下の条文の理解が独禁法との関係で、実務上も大変重要になります。

第七十三条
2  特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。

第七十七条  特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる。
2  専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。

第七十八条  特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる。
2  通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を有する。


 独禁法は、「適正な競争行為の維持」「適正な競争者の維持」を目的としてます。したがって、共同研究契約やライセンス契約において、特許法の文言上は問題が無いような契約内容であっても、公正取引委員会からは「市場分割の合意」の契約内容とみなされてしまう危険性を孕んでいます。

 「契約で別段の定」および「設定行為で定めた範囲内」について、市場分割との関係で理解を深めておくことは、合格後も役に立つと思います。

情報ソース
弁理士向けセミナー(アクセス制限があるためリンク情報は省略)