4要件なの?(部分意匠と3条の2)

2015年01月26日 20:46

 先願に係る意匠として開示された意匠の一部と後願の部分意匠との類否判断ですが、2要件でしょうか? それとも4要件でしょうか?

 受験界でも説が分かれていますので、疑問に感じている受験生も多いのではないでしょうか。審査基準『71.4.4.1 先願に係る意匠として開示された意匠の一部と後願の部分意匠との類否判断』は2要件です。

①先願に係る意匠として開示された意匠の中の後願の部分意匠の「意匠登録を受けようとする部分」に相当する一部と、後願の部分意匠の「意匠登録を受けようとする部分」との用途及び機能が同一又は類似であって、
②それぞれの形態が同一又は類似である場合、


 審査基準では更に、

 先願に係る意匠として開示された意匠と、後願の部分意匠とが、先願に係る意匠として開示された意匠が全体意匠であるか部分意匠であるか、先願に係る意匠として開示された意匠の意匠に係る物品と後願の部分意匠の意匠に係る物品が同一、類似又は非類似のいずれであるかを問わず、

 と説明されています。


 4要件とする説の根拠には「3条の2」の趣旨があるように思います。3条の2の趣旨(青本)をまとめると以下の2つです。

・新しい意匠を創作したとはできないため、意匠権を与えることは意匠制度の趣旨からみて妥当でない。
・部分意匠制度の導入により「権利関係が錯綜」するケースが増大する。


 前者を根拠とすると2要件が妥当だと思いますが、後者を根拠をすると4要件になるのではないでしょうか。つまり「権利関係が錯綜」する場合のみ3条の2で排除すれば良く、そう考えると2要件では足りず4要件が必要になります。

 いずれにしても、論文本試の前までには、どちらを採用するか決めておくことが重要です。

情報ソース
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/isyou-shinsa_kijun/7-1new.pdf