知財動向 最前線

意匠法の学習ポイント(口述2日目から)

2014年11月18日 22:18

 口述2日目の意匠法のテーマが「意匠法上の意匠」です。口述テーマは論文の題材になる可能性が高いので注意が必要です。

 意匠法上の保護対象となり得る「意匠」の把握は極めて重要です。なぜならば、法上の「意匠」でなければ、権利取得もできず、権利行使も受けないからです。

第二条  この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
2  前項において、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合には、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であつて、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるものが含まれるものとする。


 意匠法の「意匠」の要件は「物・形・視・美」の4つ、と覚えている受験生も多いと思います。審査基準では以下の4つと定義されていますので、論文の回答時間に余裕があれば、より正しく再現した方が望ましいでしょう。
(1)物品と認められるものであること
(2)物品自体の形態であること
(3)視覚に訴えるものであること
(4)視覚を通じて美感を起こさせるものであること

 「美感」については実務上も殆ど問題になることはないので出題の可能性も低い思われます。他の3要件についてはしっかりと勉強しておくことをお勧めします。

 まず、「物品」ですが、物品類似の判断基準は「用途及び機能」から行うことはご存知の通りですが、審査基準ではそれらの「共通性」となっている点に留意しましょう。

 次に、「形態」については、2条2項で保護が拡充された、いわゆる画像意匠(画面デザイン)についての出題が要注意です。そろそろ出題されてもおかしくない状況にありますので、審査基準の具体例での勉強を行っておきましょう。

 3つ目の「視覚」については、さらに「肉眼」かつ「外視」要件が加わります。「外視」についてはH18年度の論文本試で出題されているので、近年の微細加工技術の進展にも合わせて、次は「肉眼」についてでしょうか。判例が既に審査基準に反映されていますので、まずは審査基準での勉強をしておきましょう。

 権利化を望む「意匠」が法上の意匠であると判断できれば、次に検討すべきは、どのような出願で権利化をすべきかです。意匠法には特殊な出願として「意匠法特有の5大制度」なるものがあることは勉強済みだと思います。皆さんご存知の「関・組・秘・動・部」ですね。各出願の意義、要件と当て嵌めについて、事前に論述のテンプレートを作って、再現練習をしておきましょう。

 5大制度の中で、要件の当て嵌めで注意が必要なのは、組物の意匠の審査基準で定義された「構成物品が適当」の要件です。審査基準で示された構成物品表と、施行規則8条の「別表2」の違いを理解しておくことが重要です。審査基準の構成物品表を「根拠」とした当て嵌めは問題があります。審査基準は法律ではないからです。審査基準の構成物品表が具体的に示された出題がされた場合は、「構成物品が適当」要件の当て嵌めに注意してください。

 その他の「保護対象と保護形態」についての学習ポイントは、こちらを参照してください。
https://www.mesemi.com/h27%E8%AB%96%E6%96%87%E7%AA%81%E7%A0%B4%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88/

情報ソース
https://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/h26_benrisi_oral_theme.htm

アイテム: 246 - 246 / 289
<< 244 | 245 | 246 | 247 | 248 >>