「登録商標」に指定商品等が含まれる?
「登録商標」に指定商品等が含まれているとの勘違いがあるようです。
意匠法の「意匠に係る物品」と同様に、商標法では「指定商品等」を指定して「登録」されることから、「登録商標」に指定商品等が含まれているとの勘違いが生じているのかも知れません。
以下、確認していきましょう。
まず、「意匠」と「商標」の定義です。
意匠は「物品の美的外観」とも言われますが、意2条の定義からも「物品」の概念が含まれいることがわかります。
意匠法
第二条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
一方、「商標」には、指定商品等の概念は含まれていません(商2条)。
商標法
第二条 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
次に、「登録意匠」と「登録商標」の定義を見てみましょう。
意匠法
第二条
4 この法律で「登録意匠」とは、意匠登録を受けている意匠をいう。
商標法
第二条
5 この法律で「登録商標」とは、商標登録を受けている商標をいう。
したがって、「登録商標」には指定商品等の概念は含まれていません。
この点、意匠権と商標権の効力規定にも現れているので、確認しておきましょう。
意匠法
第二十三条 意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。(ただし書以下省略)
商標法
第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。(ただし書以下省略)
このように、「指定商品又は指定役務について」とあることから、「登録商標」には指定商品等の概念が含まれていないことがわかります。
くれぐれも、登録商標に「指定商品等」が含まれているかのような記載をしないよう、心掛けて解答しましょう。
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