コナミの商標権侵害?
2014年10月21日 22:53
コナミの2段表記(併記)の登録商標「グラディウス/GRADIUS」を無断使用していた「株式会社SC3」が謝罪の上、取り急ぎの対応として、タイトルロゴを「GRADIUS」→「GLADIUS」 へ変更した事案です。
「R」→「L」への変更が、商標権侵害の回避策となるのでしょうか? 直感的に疑問が残る事案なので検討してみます。弁理士の論文の勉強法としても、良い事例問題ですね。
登録商標は、デザイン上の特徴はなく2段表記の標準「的な」文字です。一方の使用商標はデザインされた「一文字(RとL)が異なる文字商標」です。少なくとも、「称呼」は同一・類似と言えるでしょう。指定商品・使用商品は「ダウンロード可能な携帯電話機用のゲームプログラム」で同一。したがって、R→Lへ変更したとしても類似(禁止権の)範囲の使用ですので侵害を構成することになるでしょう。
「否認」ができなければ、次は「抗弁」です。事実関係が不明確な部分が多いので、ここでは不使用取消し審判(50条)を検討してみましょう。コナミの「グラディウス」や「GRADUIS」は現在でもダウンロードアプリで使用しています。ここで問題となるのは、登録商標が「2段併記(表記)」に対し、使用商標が「グラディウス」あるいは「GRADIUS」で異なる点です(実際には登録商標での使用の事実があるかもしれませんがここでは1段表記の使用とします)。
1段表記の使用が、商用法50条1項カッコ書きにある「社会通念上同一と認められる商標」に該当するか否かが問題となりそうですね。審判便覧に具体的な基準と例が載っていますので、それを参考にした論述が良いでしょう。
<審判便覧の解釈基準>
「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」は社会通念上の利用に該当する。
例)2段併記「太陽/SUN」 → 「太陽」または「SUN」の使用
そうすると、「グラディウス」と「GRADIUS」は同一の観念(古代ローマ時代の刀剣)を生じるため、その一方の使用は50条の使用に該当することになります。結論は不使用取消審判は請求できないことになります。
「R」→「L」への変更は、「謝罪」を含め、誠意を見せたという理解が正しいのではないでしょうか? きっと、商標権の使用交渉に入っているのでしょうね。
情報ソース
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1408/29/news123.html