商標「パールエステ」担い手募集
2014年09月17日 23:00
指定役務を「エステティック美容」とする商標「パールエステ(標準文字)」が登録されているようです。出願人は、企業組合「Women's Nest」で、パールエステは、「同企業組合が開発したアコヤ貝の真珠層を原料とする化粧品「花真珠」を用いたエステ」との説明がされています。
登録商標:パールエステ (標準文字)
【登録番号】第5280998号
【登録日】平成21年(2009)11月20日
【登録公報発行日】平成21年(2009)12月22日
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】 44 エステティック美容
登録情報は上記のとおりで、約5年前に「登録」されています。
弁理士の論文の勉強法としては、こういった事案で考えてみると理解度が深まります。本事案で出願の帰趨(拒絶理由通知と対応措置)を問う問題が試験に出たら、「舞茸餃子」の問題と捉えて、あまり迷わず、以下の答案構成にすると思います。
1.拒絶理由通知
(1)3条1項3号(パールを用いたエステティック美容との関係で)
(2)4条1項16号(パールを用いないエステティック美容と関係で)
2.措置
(1)指定役務の変更(パールを用いたエステティック美容)による4条1項16号違反を回避
(2)3条2項の適用
[3条1項3号] その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
[4条1項16号] 商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標
本事案で、微妙なのは、3条1項3号違反に該当しているか否かです。具体的には、本事案では「役務の提供の用に供する物」は「パールを原料とする化粧品」だという点です。3条1項3号の前段(商品)の規定で「原材料」とあるので、本事案でも3条1項3号に該当すると判断してしまいます。
論点は、「役務の用に供する物の原材料」は3条1項3号に該当するか否かですが、文言上は非該当ですが、解釈上は該当としても良いと思います。
また、本事案は約5年前に登録されています。5年の除籍期間の経過が問題となりそうですね。3条違反は除籍期間の対象ですが、4条1項16号は対象となっていない点に留意して解答しましょう。
[47条] 商標登録が第三条、第四条第一項第八号若しくは第十一号から第十四号まで若しくは第八条第一項、第二項若しくは第五項の規定に違反してされたとき、商標登録が第四条第一項第十号若しくは第十七号の規定に違反してされたとき(不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除く。)、商標登録が第四条第一項第十五号の規定に違反してされたとき(不正の目的で商標登録を受けた場合を除く。)又は商標登録が第四十六条第一項第三号に該当するときは、その商標登録についての同項の審判は、商標権の設定の登録の日から五年を経過した後は、請求することができない。
(情報ソース)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140917-09410801-ehime-l38