意匠とは?(令和元年改正)

2021年10月04日 11:50

令和元年改正で、意匠の定義の見直しが行われ、具体的には、「建築物(の形状等)」と「画像」が保護対象に加えられました。


第二条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。


「物品」の定義は、青本にあります。

青本:
〈物品〉有体物である動産を指す。


今回の改正で、無体物への拡張(画像)、不動産への拡張(建築物の形状等)が行われたことになります。

さて、比較のため、「物品(の形状等)」、「建築物(の形状等)」、「画像」で整理してみましょう。


物品:
物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)

建築物:
建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等

画像:
画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)


まず、物品と建築物は、それぞれ「動産」「不動産」の関係で、今回の改正で「不動産」たる「建築物」にも意匠法の保護が及ぶよう拡張されています。動産と不動産の相違なので、両者とも「・・・の形状等」と規定し、かつ、「部分を含む」と拡張規定が置かれています。


次に、「画像」についてですが、いわゆる操作画像と表示画像に限定されている一方で、物品(の形状等)や建築物(の形状等)と同様に、「部分を含む」と拡張規定が置かれています。


注意が必要なのが、「除く規定」です。

除く規定:
次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。


この点に関して、改正法解説書では以下の説明がされています。

令和元年改正法解説書:
なお、意匠法第3条第2項で創作非容易性の根拠とする画像、同法第37条新第2項に規定する意匠権侵害における画像、同法第38条新第7号及び新第8号に規定する間接侵害における画像、同法第44条の3第2項新第6号に規定する回復した意匠権の効力の制限における画像並びに同法第55条第2項新第6号に規定する再審により回復した意匠権の効力の制限における画像については、第2条第1項で定義される操作画像及び表示画像以外の画像が含まれ得ることから、同項の「画像」の定義規定から控除することとした。


「除く規定で列挙されている条文適用においては、操作画像・表示画像以外の画像も含まれ得る」ということですね。
創作非容易性(3条2項)辺りは短答で狙われそうな点ですので、本試前に再確認しておくことをお勧めします!


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