意匠の類否判断

2017年01月09日 20:23

 意匠の類否判断は「物品」と「形態」の2観点(2つの基準)から行われます。

(1)意匠に係る物品

(2)意匠の形態


 意匠に係る物品が同一又は類似し、形態が同一又は類似する場合、意匠は類似します(両者が同一の場合は同一意匠)。


 これが部分意匠になると、4つの観点(4つの基準)からの類否判断に変わります。


<部分意匠の類否判断の4観点>

①部分意匠の意匠に係る物品

②「意匠登録を受けようとする部分」の用途及び機能

③「意匠登録を受けようとする部分」の形態

④「意匠登録を受けようとする部分」の位置、大きさ、範囲


 注意が必要なのは、上記①~③の判断基準は「同一又は類似」ですが、上記④は「同一又は当該意匠の属する分野においてありふれた範囲内」となる点です。


<判断基準>

①意匠に係る物品とが同一又は類似であること

②当該用途及び機能が同一又は類似であること

③当該形態が同一又は類似であること

④物品全体の形態の中での位置、大きさ、範囲とが同一又は当該意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものであること



 したがって、例えば「意匠登録を受けようとする部分」の位置が大きく異なり「類似範囲」を超えている場合であっても、その位置の相違が「当該意匠の属する分野においてありふれた範囲」であれば、上記④の基準をクリアし、他の①~③が同一又は類似であれば、意匠としては「類似」することになります。


 関連意匠として登録されている具体例としては以下がありますので、意匠公報に当たって確認しておくことをお勧めします。


本意匠:意匠登録1081988

関連意匠: 意匠登録1082584 、意匠登録1082583 、意匠登録1082585 


 なお、「意匠登録を受けようとする部分」の位置、大きさ、範囲については、審査基準で以下のとおり定義されています。併せて理解を深めておきましょう。


<意匠法審査基準>

 位置とは、部分意匠の意匠に係る物品全体の形態に対する当該「意匠登録を受けようとする部分」の相対的な位置関係をいう。大きさとは、主として「意匠登録を受けようとする部分」の絶対的な大きさをいう。範囲とは、主として部分意匠の意匠に係る物品全体の形態に対する当該「意匠登録を受けようとする部分」の相対的な大きさ(面積比)をいう。


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