新喪例&秘密意匠は可能?
H26年度の短答本試、第58問(第4枝)に「秘密意匠」の問題が出題されています。
(ニ) 本意匠イ及びその関連意匠ロについて意匠権の設定の登録がされた場合、イのみについて秘密にすることを請求していたときでも、ロについても、願書及び願書に添付した図面の内容については、イの秘密請求期間が経過するまで秘密とされる。
短答の観点としては、66条3項との「混乱」を狙った出題だと思われます。
第六十六条
3 ・・・。この場合において、その意匠登録出願の中に第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠登録出願があるときは、すべての意匠登録出願に関する第三号に掲げる事項は、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した日から同項の規定により指定した期間(秘密にすることを請求した意匠登録出題が二以上ある場合には、そのうち最も長い期間)の経過後遅滞なく掲載するものとする。
論文視点で見ると、実は奥が深い問題です。そもそも「類似関係」にある2つの意匠の片方のみを秘密にする「意義」があるのでしょうか?
禁止する条項もありませんし、本意匠と関連意匠を一括して秘密意匠請求すべきとする制限規定もありませんので、相互に類似する複数意匠の一部のみ秘密意匠を請求することに何ら問題はありません。
出願人の意思として、秘密にしたい範囲で全部あるいは一部を請求すれば良いとの趣旨と考えられます。
同様な論点がもう一つあります。新規性喪失の例外規定の適用と秘密意匠の請求の問題です。新規性喪失の例外規定の適用と秘密意匠の請求を同一の出願に対して行うことができるのでしょうか?
これも、関連意匠の場合と同様、禁止条項や制限条項はありません。出願人の意思により、必要に応じた請求が可能です。
論文本試で出題されるかも知れません。本番で、戸惑わないようしましょうね。
情報ソース
https://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/pdf/h26benrisi_tan/question.pdf