査定後の分割(中編):時期的要件
前回は「改正趣旨」を取り上げました。
今回は短答向けとなりますが、査定後の分割の「時期的要件」について審査基準の注意事項を中心に確認していきたいと思います。
まずは、条文の確認からです。
第四十四 特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。
審査基準では、査定後の分割における時期的要件の注意事項として以下の①~⑤を指摘しています。
①以下の場合は除かれる。
(a) 前置審査において特許査定がされた場合(第 163 条第 3 項において準用する第51 条)
(b) 拒絶査定不服審判において拒絶査定が取り消され、審決により審査に差し戻されて、特許査定がされた場合(第 160 条第 1 項及び第 51 条)
②特許査定の謄本送達日から 30 日以内であっても、特許権の設定登録がなされた後は、特許出願が特許庁に係属しなくなるため、特許出願を分割することができない。
③拒絶査定不服審判における審決は、特許査定や拒絶査定ではないので、審決の謄本送達後の期間は含まれない。
④延長等がされることがある(第 44 条第 5 項から第7 項まで)。
⑤以下の場合は除かれる。
拒絶査定不服審判において拒絶査定が取り消され、審決により審査に差し戻されて、再び拒絶査定がされた場合(第 160 条第 1 項及び第 49 条)
①は2号(特許査定後の分割)のカッコ書の規定です。
②は44条からは読めない、実務上も重要な注意事項です。
③は「査定」と「審決」が異なる点をおさえておけば、当然の内容でしょう。
④は44条5項ないし7項に関する内容です。
⑤は「最初」の要件からくる制限となります。
弁理士試験対策としては、短答向けで狙われそうな点ですので、短答本試の前に、上記の注意事項を再チェックしておくことをお勧めします。
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