査定後の分割(前編):趣旨

2021年10月24日 10:00

査定後の分割は、H18年改正で導入された制度です。

まず、条文から確認しましょう。

(特許出願の分割)
第四十四条 特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。


「分割は補正の一種」とも言われますが、1号で補正ができる時期に合わせた分割が可能な点を規定し、2号・3号で、補正はできない時期として、特許査定後の分割と、拒絶査定後の分割を規定しています。

次に、改正趣旨を青本で確認していきましょう。

青本:
二号及び三号は、平成一八年の一部改正で新たに追加された分割できる時期を規定している。実効的な権利取得の支援及び手続の無駄の解消の観点から、特許査定後の一定期間(二号)及び拒絶査定後の一定期間(三号)に特許出願を分割することができることとしたものである。


キーワードは「実効的な権利取得の支援」と「手続きの無駄の解消」ですが、青本には「改正前に生じていた具体的な問題点」についての記載がありません。この点については改正法解説書に説明がされていますので、その内容を確認しましょう。


H18年改正法解説書:
実効的な権利を取得するため、出願人は、審査が終了するまでの間(特許査定の謄本が送達されるまでの間)に、特許請求の範囲に保護を受けようとする発明を網羅的に記載しておく必要がある。
・・・
しかしながら、どの範囲まで広く権利化できるか(上位概念化できるか、必須とすべき構成をいかに少なくできるか等)について見通しを立てることは必ずしも容易でないため、特許査定時の特許請求の範囲が十分実効的なものでない場合や、特許請求の範囲に発明を的確に表現できずに拒絶査定となってしまう場合があった。

従来の制度では、拒絶理由が通知されることなく特許査定がなされた場合には、審査官の判断結果を踏まえて出願を分割する機会が得られない。そのため、出願人は、故意に拒絶理由を含む発明を特許請求の範囲に記載したり、念のため事前に出願を分割するといった手段をとる場合があるが、
・・・
また、拒絶査定後に出願を分割する機会を得るためには、拒絶査定不服審判を請求することが必要である。


いわゆる「趣旨問題」は、改正前後のBefor/Afterを簡潔に記載することがポイントとなりますので、上記改正前の問題点を軸に、例えば「従来は・・・」~「そこで、本改正により・・・」といった流れの中で、青本のキーワード「実効的な権利取得の支援」と「手続きの無駄の解消」 の再現による答案構成を行うと良いでしょう!

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