機能的意匠の効力制限は?

2016年12月11日 18:55

 「商品が当然に備える立体的形状のみからなる商標」は商標登録を受けることができません(商4条、商施令1条)。

(商標登録を受けることができない商標)
第四条  次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
十八  商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第二十六条第一項第五号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標

商標法施行令
第一条  商標法第四条第一項第十八号 及び第二十六条第一項第五号 の政令で定める特徴は、立体的形状、色彩又は音(役務にあつては、役務の提供の用に供する物の立体的形状、色彩又は音)とする。

 仮に過誤登録されたとしても、商標法は、商標権の効力が及ばない構成を採っています(商26条5号)。

(商標権の効力が及ばない範囲)
第二十六条  商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。
五  商品等が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標

 同様な規定が、意匠法にもあります。
 「物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠」は意匠登録をうけることができません(意5条3号)。

(意匠登録を受けることができない意匠)
第五条  次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。

三  物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠

 しかし、過誤登録を予定した、商標法と同様な効力制限の規定は、意匠法には存在しません。

 法の不備でしょうか?

 この点について、青本(19版)の意匠法5条では、以下のように解説されています。

 なお、①諸外国等の意匠制度においては、機能的意匠について、効力制限の明文の規定を有する例は皆無であること、②工業所有権法の中で、競業秩序法的色彩が強い商標法と、創作法的色彩が強い意匠法とでは法目的・法体系が若干異なり、効力が及ばない旨の規定を有する商標法の例が直ちに意匠法に該当しないこと、③判例により、訴訟上の対応が既に可能となっており、効力制限を新たに設ける実質的な必要はないことから、機能にのみ基づく意匠には意匠権の効力が及ばない旨の規定は設けないこととした。

 青本を読んでも良くわからなかった方も居るのではないでしょうか?  ・・・特に、商標法を勉強する前は。

 青本は弁理士試験突破には必須の教材です。

 何度も繰り返して読み込み、理解を深めておくことをお勧めします。

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