補正と分割、効果の相違
「分割は補正の一種」と言われることがあります。
「補正可能な時期に分割が可能で、効果も遡及効で同じ」と大雑把に理解している方も多いのではないでしょうか。
弁理士試験では、相違点の理解が重要になりますので、以下、ポイントを確認していきましょう。
「効果」において押さえておくべきは、「補正や分割の要件を満たさなかった場合の効果の相違」です。
まず、補正の場合は4法で異なる点に注意が必要です(新規事項の追加違反、要旨変更違反の場合)。
特許法は、拒絶理由の対象となります。
特許法
第四十九条 審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一 その特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項又は第四項に規定する要件を満たしていないとき。
実用新案法は、無審査ですので、拒絶理由という概念はありません(無効理由の対象となります)。
実用新案法
第三十七条 実用新案登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その実用新案登録を無効にすることについて実用新案登録無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
一 その実用新案登録が第二条の二第二項に規定する要件を満たしていない補正をした実用新案登録出願に対してされたとき。
意匠法、商標法は、補正却下の対象となります。
意匠法
第十七条の二 願書の記載又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
商標法
第十六条の二 願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
それでは、分割の要件を満たさなかった場合の効果は、どう変わるのでしょうか。
こちらは4法共通です。分割出願時にされた出願として取り扱われることになります。
覚えやすいですが、それ自体で拒絶理由や無効理由になることはなく、原出願の出願公開等の有無により拒絶理由等の対象になる点の理解が重要です。
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