適用除外を伴う特例(H26改正)

2016年03月28日 20:03
 
 意匠法の第六章の二「ジュネーブ改正協定に基づく特例」、条文で言うと60条の3から60条の23までの規定の中で、適用除外を伴う特例が4つあります。
 
第六十条の十(パリ条約等による優先権主張の手続の特例)
第六十条の十一(意匠登録を受ける権利の特例)
第六十条の十七(意匠権の放棄の特例)
第六十条の十八(意匠権の登録の効果の特例)
 
 これらは、通常の意匠登録出願や意匠権とは異なる規定となるため、それだけでも出題される可能性が高い条文と言えますが、その中でも「ひっかけ問題」が作りやすい条文が60条の17と60条の18です。
 
(意匠権の放棄の特例)
第六十条の十七  国際登録を基礎とした意匠権を有する者は、その意匠権を放棄することができる。
2  国際登録を基礎とした意匠権については、第三十六条において準用する特許法第九十七条第一項 の規定は、適用しない。
 
(意匠権の登録の効果の特例)
第六十条の十八  国際登録を基礎とした意匠権の移転、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限は、登録しなければ、その効力を生じない。
2  国際登録を基礎とした意匠権については、第三十六条において準用する特許法第九十八条第一項第一号 及び第二項 の規定は、適用しない。
 
 60条の17では特許法97条各項の内「1項のみ」が適用除外です。また、60条の18では特許法98条1項各号の内「1号」(及び2項)のみ適用除外となっています。
 
 従って、専用実施権の放棄(97条2項)、通常実施権の放棄(97条3項)、専用実施権の移転等(98条1項2号)、質権の移転等(98条1項3号)は適用除外とされていない点に注意が必要です。
 
 更に、関連して注意が必要なのが、特許法73条です。本条も適用除外とされていません。
 
 よって、意匠権が共有に係る場合「他の共有者の同意を得なければならない」要件は適用除外とされていない点にも注意が必要になります。
 
 短答は条文暗記の正確性が問われます。短答本試では設問を良く読み、引っかからないよう注意して解答しましょうね。
 
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