関連意匠制度の改正か?(その2)

2018年08月19日 15:38

 特許庁から「意匠制度の見直しの検討課題に対する提案募集について」が公開されました。
 https://www.jpo.go.jp/iken/180807_isho_seido.htm

 上記リンク先によれば「関連意匠制度の拡充」について、3つの論点が指摘されています。

①関連意匠の出願が認められるのは、本意匠の公報発行日前までとされている。本意匠の公報発行日後において関連意匠の出願を認めることについてどう考えるか。
②関連意匠にのみ類似する関連意匠の登録を認めることについてどう考えるか。
③関連意匠の存続期間をどのように設定すべきか(本意匠の存続期間に合わせるべきか)。


 今回は上記②を取り上げて、「関連意匠の現状と課題」について理解を深めましょう。

 まずは、条文の確認からです。

第十条
3 第一項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、意匠登録を受けることができない。


 10条3項を規定した理由は、青本に記載があります。


<青本(20版)>
 三項は平成一八年の一部改正により二項が新設されたのに伴い、旧二項から三項へ条文移動したものであり、本意匠とは非類似であって、関連意匠にのみ類似する意匠については、類似の無限連鎖を回避するために、意匠登録しない旨を規定したものである。


 さて、「類似の無限連鎖」が起こった場合、誰が、どのように困るのでしょうか?

 実は、青本やH18改正法解説書、さらに遡って、H10改正法解説書にも、この点の解説が見当たりません。そういう意味では「類似の無限連鎖を回避」は論点と言えます。


 「出願人の保護」だと理解している受験生も少なくないと思いますが、今回の改正議論で明らかになることでしょう。

 「類似の無限連鎖を回避」は、論文/口述ではキーフレーズとなっており、暗記されている受験生も多くいると思います。今回の改正議論により「出題の可能性が高くなる」と考えられますので、十分に理解を深めておくことが重要です。

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