侵害の定義「その1」

2018年07月01日 16:49
 侵害の定義は、四法共に直接的な規定はなく、複数の条文から構成されます。

 受験生の「好みにより」使い分けられていますが、以下、代表的な定義を示します。

特許権の侵害とは、
権限又は正当理由なき第三者が、
業として特許発明の実施をすること、
又は一定の予備的行為を行うことを言う。

実用新案権の侵害とは、
権限又は正当理由なき第三者が、
業として登録実用新案の実施をすること、
又は一定の予備的行為を行うことを言う。

意匠権の侵害とは、
権限又は正当理由なき第三者が、
業として登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をすること、
又は一定の予備的行為を行うことを言う。

商標権の侵害とは、
権限又は正当理由なき第三者が、
指定商品又はこれに類似する商品等について登録商標又はこれに類似する商標の使用をすること、
又は一定の予備的行為を行うことを言う。

 四法を比較すると、「業として」の有無、そして、それに続くいわゆる「類似範囲」の実施(使用)の有無の違いがあるのが分かります。

 まず、商標法には「業として」の要件が無いように思われますが、「商標」の定義に「業として」があるため、四法の実質的な相違はありません。

商2条 この法律で「商標」とは、(・・・途中省略・・・)であつて、次に掲げるものをいう。
 一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
 二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

 従って、侵害の定義においては、意匠法および商標法のみ、いわゆる「類似範囲」の行為まで侵害を構成することになる点が、相違点となります。

 意匠法と商標法は、このように同様な侵害の定義となりますが、条文上は、その構成が異なる点の理解が重要です。

 「又は」に続く最後の定義は、いわゆる「間接侵害」と呼ばれるものですが、意匠法では意38条各号のすべてを指す一方、商標法では商37条2号以下、すなわち、1号を除く規定を指しています。

 弁理士試験は条文の理解を問う試験です。できる限り、条文に当たって理解を深めることをお勧めします。

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