「用途発明」の定義は?

2014年11月28日 18:48

 記事には、「アロエエステロールは、(途中省略) 肌状態の改善や体脂肪蓄積予防など、国内で10以上の用途特許を取っている」と解説されています。

 用途発明の具体例として基本書等に出てくるのは、ダイナマイトの原料の「ニトログリセリン」を抗がん剤に利用するといった内容でしょう。用途発明は、特定の技術分野に特有の発明とも言えますので、特定の技術分野の受験者に有利になるため、弁理士の論文試験に出る可能性は低いと思います。

 しかし、過去問として、H14年に「物質特許と用途発明に係る特許についての特許権者間の特許法上の関係についての理解を問う」問題が出題されていますので、一応、押さえておく方が良いテーマです。

 審査基準にも、判例のキーフレーズ付きで、解説がされています。論文の上級者は正確に再現してきますので、具体例を含めて、理解を深めておいた方が良いでしょう。「新規性の有無」の議論になる点も、押さえておきましょう。

参考判決: 東京高判平 13.4.25(平成 10(行ケ)401)、東京地判平 4.10.23(平成 2(ワ)12094)、東京高判平 12.7.13(平成 10(行ケ)308)、東京高判平 12.2.10(平成 10(行ケ)364) 

特許法審査基準「第 2 章 新規性・進歩性」
② 用途限定が付された物の発明を用途発明と解すべき場合の考え方 
 一般に、用途発明は、ある物の未知の属性を発見し、この属性により、当該物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明と解される。


 そして、請求項中に用途限定がある場合であって、請求項に係る発明が、ある物の未知の属性を発見し、その属性により、その物が新たな用途に適することを見いだしたことに基づく発明といえる場合には、当該用途限定が請求項に係る発明を特定するための事項という意味を有するものとして、請求項に係る発明を、用途限定の観点も含めて解することが適切である。したがって、この場合は、たとえその物自体が既知であったとしても、請求項に係る発明は、用途発明として新規性を有し得る。

 また、審査基準の「ただし」以降で例外が規定されています。少々判り難い内容ですが、たとえば、未知の効果を知らずに食していたとして、その後に新たな効果を確認したとしても、新規性は否定されるということです。 

 ただし、未知の属性を発見したとしても、その技術分野の出願時の技術常識を考慮し、その物の用途として新たな用途を提供したといえなければ、請求項に係る発明の新規性は否定される。また、請求項に係る発明と引用発明とが、表現上の用途限定の点で相違する物の発明であっても、その技術分野の出願時の技術常識を考慮して、両者の用途を区別することができない場合は、請求項に係る発明の新規性は否定される。

情報ソース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141002-00000046-scn-bus_all
https://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140930-00144084-jspa-life
https://aloebene.jp/index_top.html