カプコン特許権の侵害

2014年12月23日 22:41

 「カプコン」が「コーエーテクモゲームス」に対し、差止請求(特100条)と9億8千万円の損害賠償請求(民709条)を求めて提訴し、大阪地裁で第一回目の口頭弁論が行われました(8月末)。コーエー側は徹底抗戦の構えを見せているようです。

 2002年に登録との情報から特許公報を検索すると3件が該当しました。その中から特許請求の範囲を読んだところ、「特許3350773 システム作動方法」による権利行使だと思われます。

 クレームは「システム作動方法」ですので、いわゆる「単純方法」になります。したがって、その権利が及ぶ実施範囲は「その方法の使用をする行為」までです(2条3項2号)。

 また、利用するのはユーザ(個人)ですが、差止め対象が企業側の「ソフトの製造販売」行為となっています。当然と言えば当然ですが、間接侵害(101条)での訴え提起でしょうか。

 弁理士の論文対策としては、101条4号の「のみの要件」と5号の「主観要件」の立証について復習しておく必要があります。論点としては、独立説と従属節の対立がありますが、本事案では、権利者側としては独立説に立つ論証が必要となります。

 また、単純方法と製造方法の判例としては「カリクレイン事件」が有名です。以下に挙げておきます。キーフレーズは再現できるようにしておきましょう。

【最判平成11年07月16日】カリクレイン事件
 方法の発明と物を生産する方法の発明とは、明文上判然と区別され、与えられる特許権の効力も明確に異なっているのであるから、方法の発明と物を生産する方法の発明とを同視することはできないし、方法の発明に関する特許権に物を生産する方法の発明に関する特許権と同様の効力を認めることもできない。そして、当該発明がいずれの発明に該当するかは、まず、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて判定すべきものである(同法七〇条一項参照)。


 特許公報の特許請求の範囲を見たことの無い受験生も居るかも知れませんので、本件の請求項を挙げておきますね。

特許3350773 システム作動方法

【請求項1】 ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶する記憶媒体を所定のゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法であって、上記記憶媒体は、少なくとも、所定のゲームプログラムおよび/またはデータと、所定のキーとを包含する第1の記憶媒体と、所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する第2の記憶媒体とが準備されており、上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは、上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対し、ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化を達成するように形成されたものであり、上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき、上記ゲーム装置が上記所定のキーを読み込んでいる場合には、上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータと上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ、上記所定のキーを読み込んでいない場合には、上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させることを特徴とする、ゲームシステム作動方法。

情報ソース
https://www.sankei.com/west/news/140826/wst1408260051-n1.html