使用事実の提出はいつまで?

2015年06月10日 21:34

 H27年度の短答本試、第54問(第4枝)に「新たな使用事実の提出@審取訴訟」の問題が出題されています。

〔54〕不使用による商標登録の取消しの審判及び商標法に規定する審決取消訴訟に関し、 次のうち、正しいものは、どれか。 
4 不使用による商標登録の取消しの審判の商標登録を取り消すべき旨の審決に対する審 決取消訴訟において、原告(審判被請求人)は、審判において提出できたにもかかわら ず提出しなかった当該登録商標が審判の請求の登録前3年以内に通常使用権者によって使用されている事実を、新たな証拠として提出し、使用の事実を立証することができる。


 商標法の勉強が進み、シェ・トア事件を「知っていた」受験生は解答できたことでしょう。

【最判平成3年04月23日】シェ・トア事件
https://www.mesemi.com/products/%E3%80%90%E6%9C%80%E5%88%A4%E5%B9%B3%E6%88%903%E5%B9%B404%E6%9C%8823%E6%97%A5%E3%80%91%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A2%E4%BA%8B%E4%BB%B6/

 一方で、特許法の判例「メリヤス編機事件」の結論のみ知っていた受験生は、間違った解答をしてしまったのではないでしょうか。

【最判昭和51年03月10日】メリヤス編機事件
https://www.mesemi.com/products/%E3%80%90%E6%9C%80%E5%88%A4%E6%98%AD%E5%92%8C51%E5%B9%B403%E6%9C%8810%E6%97%A5%E3%80%91%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%A4%E3%82%B9%E7%B7%A8%E6%A9%9F%E4%BA%8B%E4%BB%B6/

 「登録主義」を採る我が国にとって「不使用商標対策」は重要な課題であり、その中心的な50条の使いこなしの能力を受験生に求めることは自然です。今後も短答・論文ともに、出題の可能性が高い条文と考えられますので、しっかり勉強しておきましょう。

 論文で「シェ・トア事件」の理解力を問うとすれば、「メリヤス編機事件」との対比における「シェ・トア事件」の結論、その理由を論述させる問題が想定されます。「シェ・トア事件」単独の設問であっても、原則的に「メリヤス編機事件」を挙げつつ、「シェ・トア事件」の結論とその理由を書くことで、「加点、心証点」が狙えます。

 「不使用取消審判の審決取消訴訟における新たな使用事実の証拠の提出」は口頭弁論終結時までとされる「理由」については、中上級の受験生でも簡潔に書くことは容易ではありません。

 論文本試までに「簡潔答案」の練習をしておくことをお勧めします。

情報ソース
https://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/pdf/h27benrisi_tan/question.pdf