出願日の繰り下げの趣旨は?

2016年02月25日 20:39
 
 意匠法9条の2は、いわゆる出願日の繰り下げの規定になります。
 
第九条の二  願書の記載(・・・省略・・・)又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものと意匠権の設定の登録があつた後に認められたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。
 
 同趣旨の規定は特許法には存在せず、意匠法特有の規定と言え、論文等で狙われる可能性が高い条文です。
 
 実は、特許法でも同趣旨の規定が存在していました。
 
 平成5年改正で廃止されたのですが、意匠法では存置されています。この観点から、同条の趣旨が問われる可能性がありますので、青本に記載されているキーワード、キーフレーズの再現力を高めておきましょう。
 
(青本19版)
 平成五年の一部改正前の意匠法においては、一五条において改正前の特許法四〇条を準用していたが、平成五年の一部改正において、特許法では、制度の国際的調和を図る観点から、不適法な補正がなされたことが登録後に判明した場合は、補正がなされた時に出願日を繰り下げることを規定した特許法四〇条を廃止し、不適法な補正であることが登録後に判明した場合には、当該補正を無効理由とすることとされたが、意匠法においては、特許法における訂正審判制度に相当する制度が設けられていないため、不適法な補正であることが登録後に判明した場合に、当該補正を無効理由とすると、権利者には、何らの防御手段がなく、酷であるため、救済措置を設けておく必要があることから、特許法四〇条に相当する規定を存続させることとしたものである。
 
 趣旨の書き方としては、「1.原則、・・・」「2.しかし、・・・」「3.そこで、・・・」の一般的な記載方法に倣い、1.特許法では改正により無効理由とされたが、2.意匠法では訂正審判制度がなく問題があるので、3.出願日の繰り下げ規定を存続させた、の順で骨子を構成しつつ、青本のキーワード「例:何ら防御手段がなく酷」等を盛り込みながら記載すれば良いでしょう。
 
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