意匠法【問題1】は実務に使える?

2015年10月04日 21:44
(1) 甲が意匠イについて意匠登録を受けることができない場合を挙げ、それらの場合、乙が意匠ハ、ニについて意匠登録を受けることができるかについて説明せよ。
 
 意匠イに係る出願Aと意匠ハに係る出願Cの出願日が同日。意匠イと意匠ハは類似。意匠ニは意匠ハを本意匠とする関連意匠という設定です。また、出願Aの前に意匠ハとニに類似しない意匠Yが公知になった事実があります(意匠Yが意匠イに類似するか否かは不明)。
 
 理解が問われれているポイントは「先願の地位が残るか否か」です。
 
 答案構成例は解説済みですので、こちら(過去のブログ)を参照ください。
 https://www.mesemi.com/news/%E7%AD%94%E6%A1%88%E6%A7%8B%E6%88%90%E3%80%8Ch27%E6%84%8F%E5%8C%A0%E6%B3%95%E2%85%A0%281%29%E3%80%8D/
 
 以下では、実務の面から本問を眺めてみましょう。
 
 類似する複数の意匠を創作する過程で、一つの意匠を本意匠として先行して出願し、その後、残りの複数の意匠を関連意匠として出願したとします。そして本意匠の審査の過程で他人による同日出願(類似意匠)の存在による協議命令(9条4項)を受けたとします。
 
 この場合、今年の問題1(1)の「事例」を参考にすると、対処法が見えてきます。
 
 9条2項を理由として拒絶が確定した場合、全ての意匠に係る出願が拒絶になりますが、他人の出願に係る意匠に「のみ」類似する公知意匠を見つけることができれば、それを情報提供することで、全ての意匠に係る出願が救える可能性が出てきます。
 
 「同日出願」自体がレアケースだと思いますが、協議命令が「来てしまった」場合の対処法としては、協議と並行した先行意匠調査が得策ではないでしょうか。
 
「カフェ勉」情報はこちら。
https://www.mesemi.com/news/cafe%E5%8B%89-%E9%96%8B%E5%82%AC%E4%B8%AD%EF%BC%81/