改正だらけ@H28特許法(問題Ⅰ)

2016年08月22日 19:12

 今年の論文本試・特許法は、問題Ⅰにおいて、改正に「関連する」理解が広く問われました。


 まず、改正点の理解が「直接的に」問われた設問(4)と(5)を確認しましょう。


(4) 国際特許出願A1は、平成 28 年6月5日に、発明イについて拒絶の理由があるとし て、拒絶の査定を受けたとする。このとき、丙は、発明ロについて特許権を得るため にどのような手続をすることが考えられるか、その手続をする理由とともに、説明せよ。 


 拒絶査定後の採り得る措置で、特44条3号の理解が問われています。


第四十四条  特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。

三  拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。


 改正は平成18年になります。改正法解説書へのリンクはこちらです。今年の事例では同条1号が採り得ない点についても確認しておきましょう。

 https://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/pdf/h18_kaisei/2-3.pdf


 次は、冒認出願に係る補償金請求権の権利行使に関する設問です。


(5) 特許出願B2が平成 28 年6月に特許査定を受け、丁は、その設定の登録により発生 した特許権の特許権者となったとする。この場合、丙は、設定の登録前の戊による組 成物αの製造・販売について、発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の 金員の支払いを戊から受けるために、どのような手続をとることが必要か、説明せよ


 特74条2項の理解が問われています。


第七十四条

2  前項の規定による請求に基づく特許権の移転の登録があつたときは、その特許権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。当該特許権に係る発明についての第六十五条第一項又は第百八十四条の十第一項の規定による請求権についても、同様とする。


 改正は平成23年になります。改正法解説書へのリンクはこちらです。

 https://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/pdf/tokkyo_kaisei23_63/02syou.pdf



 今年の論文では、さらに、設問(2)と(3)でも改正に「関連した」条文の理解が問われています。


 まず、職務発明制度の改正(H27年)に関連する理解が問われたのが、設問(2)です。


(2) 丙は、乙に対し、発明イについての特許を受ける権利を有することを主張できるか、 説明せよ。 


 改正法解説書へのリンクはこちらです。改正後でも「二重譲渡」が起こり得る点、起こった場合の法上の「効果」について確認しておきましょう。

 https://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/pdf/tokkyo_kaisei27_55/01.pdf


 最後は「冒認出願の先願の地位」に関してです。


(3) 国際特許出願A1の審査において、特許出願B2を先願として、特許法第 39 条第1 項の規定により拒絶の理由を通知されることがあるか、同項の要件について検討しつつ、 説明せよ。 


 冒認出願には先願の地位を認めないとされた旧39条6項が削除され、冒認出願にも先願の地位を認めることとしました。


 改正は平成23年になります。改正法解説書へのリンクはこちらです。冒認出願に先願の地位を認めることとした趣旨を再確認しておきましょう。

 https://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/pdf/tokkyo_kaisei23_63/02syou.pdf


 このように、改正法の勉強は、短答・論文を問わず、弁理士試験の必須テーマです。他のテーマ以上に時間を掛け、改正法解説書にもあたり、条文の理解を深めておくことをお勧めします。


目白ゼミナール

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