特許要件の判断時期

2016年09月04日 18:28

論文本試の合格発表(9月28日に予定)まで丁度1ヶ月となりました。


 新試験制度の初年度ですので、基本条文が狙われる可能性が高いと思います。特に、各法域で「最初に登場する」登録要件の条文を押さえておく必要があります。


 特許法では29条1項各号、意匠法では3条1項各号、商標法では3条1項各号です。


(特許の要件)

第二十九条  産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。

一  特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明

二  特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明

三  特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明


(意匠登録の要件)

第三条  工業上利用することができる意匠の創作をした者は、次に掲げる意匠を除き、その意匠について意匠登録を受けることができる。

一  意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠

二  意匠登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた意匠

三  前二号に掲げる意匠に類似する意匠


(商標登録の要件)

第三条  自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

一  その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

二  その商品又は役務について慣用されている商標

三  その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

四  ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

五  極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標

六  前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標


 さて、各要件の判断時期についてですが、特許・意匠法と、商標法では、異なる点に注意が必要です。


 商標法は条文上、時期的要件がありませんので、行政処分の原則に従い、「査定・審決時」になります。


 この点、商標法の審査基準に「3条1項各号の判断時期について」の記載があります。


<商標法 審査基準 3条>

1.判断時期について

本項に該当するか否かの判断時期は、査定時とする。なお、拒絶査定不服審判請求がなされた場合の判断時期は、審決時である。



 特許(意匠)法は、この例外として規定されており、「特許(意匠登録)出願前に」とあることから、判断時期は出願時になります。


 特許(登録意匠)要件の各号の「出だし」がこの「判断時期」だと覚えておくと、条文暗唱も少しは楽になるのではないでしょうか。


 論文本試で、手応えがあった受験生はもちろんですが、1教科でもしっかり書けた受験生は十分にチャンスはありますので、早めに口述模試に向けた準備を開始しましょう。


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