特29条1項との相違は?

2015年10月07日 20:56
意3条1項は、特29条1項と比して、3つの相違点があります。
 
第三条  工業上利用することができる意匠の創作をした者は、次に掲げる意匠を除き、その意匠について意匠登録を受けることができる。
一  意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠
二  意匠登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた意匠
三  前二号に掲げる意匠に類似する意匠
 
(1)意匠法は「工業上」である(3条1項柱書)。
 「工業上」とは、工業的手法により「量産可能」であることを意味します。
 
(2)意匠法は、いわゆる「公用」がない。
 「公用」により「公知(意3条1項1号)」に該当するゆえ、「公用」を規定する必要がないからです。
 
(3)意匠法は、類似範囲まで広げている(3条1項3号)。
 意匠権の効力(23条)との兼ね合いです。意匠権の効力を「類似」まで広げている関係で、新規性の要件も「類似」まで広げています。
 
第二十三条  意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。・・・
 
 登録意匠と同一の範囲に限ったのでは、意匠権の効力範囲が狭く実効性が無いため、「類似」まで効力範囲を広げています(23条)。
 
 更に言えば、「類似」範囲まで広げるだけでは保護が足りないため、「部分意匠(2条1項柱書)」、「動的意匠(6条4項)」、「組物の意匠(8条)」といった意匠法特有の出願制度が設けられていると考えることができます。
 
 「意匠法は複数の特有規定で権利範囲を広くしている」といった視点で条文を見ると、意匠法の理解がより深まると思います。
 
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