特29②と意3条②

2015年09月30日 20:01
 類似する条文を並べて比較し、その相違を見つけ、「なぜ?」と考えることで条文の理解が深まります。
 
 いわゆる「進歩性」、意匠法では「創作非容易性」の条文を比較して見ましょう。
 
特29条の2項
2  特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
 
意3条2項
2  意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときは、その意匠(前項各号に掲げるものを除く。)については、前項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
 
 2つの違いがあります。いわゆる当業者が何に基づいて進歩性(創作非容易性)を判断するのかといった点、および、同条1項の優先適用の有無です。
 
1.進歩性の基準
 特許法は「1項各号に掲げる発明に基づいて」とあり、意匠法は「日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて」とあります。ポイントは、意匠法では1項で規定されている「意匠」即ち「物品x形態」に限定されず、公然知られた「形態」のみから創作非容易性を否定することが可能となります。
 
2.優先適用
 特許法には1項の優先適用の規定はなく、意匠法にはあります。意匠法では新規性違反に該当する場合は意3条1項(各号)が優先適用されることになります。
 
 
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似て非なる条文集(四法対照オリジナル版)
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