色彩のみと位置商標どっちがお得?

2016年01月23日 15:02
 
 「色彩のみの商標」と「位置商標」」のどちらでも権利取得ができる場合、どちらを選択すべきでしょうか?
 
 特許庁公開資料「 新しいタイプの商標制度に関するQ&A」に、その点に関して触れた解説があります。
 
Q1-11 「色彩のみからなる商標(商品等の特定の位置に色彩を付すもの)」と「位置商標(図形等に色彩が付されているもの)」の違いを教えてください。
 
 「色彩のみからなる商標」が商標登録された場合、その商標を独占的に使用することができる範囲(=専用権の範囲)は、図形等と結合していない色彩そのものとなります。このため、商品の形状等に応じて、輪郭なく色彩を使用することができます。
  これに対して、「位置商標」の場合は、図形等を商品等の特定の位置に付するものですので、仮に図形等に色彩を付したものを「位置商標」として商標登録したとしても、独占的に使用することができる範囲は、「特定の輪郭を有する図形等」となります。このため、商品等に使用する際には、必ずその輪郭を有する図形等で使用しないと当該「位置商標」を使用していることになりません。
 
 「輪郭形状を特定することなく」広く権利範囲が定まることになり、「色彩のみの商標」での権利化が有効ではないかとも思われます。
 
 解説は、さらに続きます。
 
 また、「位置商標」は、商標法第70条(登録商標に類似する商標等についての特則)が適用されるため、多少図形等の色彩を変えたとしてもそれが登録商標と類似する範囲内のものであれば、独占的に使用することができる範囲として認められますが、「色彩のみからなる商標」は、商標法第70条が適用されないため(商標法第70条新設第4項)、登録された色彩そのものが独占的に使用することができる範囲となります。
 
 商70条の規定により、「色彩のみの商標」は権利範囲が広がらず、一方、「位置商標」の場合は権利範囲が「色違い類似商標」に広がります。
 
 面白い論点ですね。
 
 一行問題等で出題の可能性がありますので、商70条を含めて理解を深めておきましょう。
 
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