EPSON商標の侵害事件

2014年11月21日 19:48

 セイコーエプソン株式会社のハウスマークでもある登録商標「EPSON」が不正に付された交換部品が輸入され刑事事件に発展しているようです。

 本事案では、交換部品に登録商標が付されているので「視認性(視覚に訴えるものであること)」の問題は生じないと思われます。

 弁理士の論文対策としては、「視認性」が問題になる事案での出題が考えられますので、準備しておきましょう。判例としては、本事案と同様にハウスマーク「SHARP」がCPU(チップ)に不正に付されたパチスロの「リノ事件」ですね。

【最判平成12年02月24日】リノ事件

 弁理士の勉強の順番が、特許法→意匠法→商標法と進むせいか、リノ事件は、意匠法の「減速機付きモータ事件」と同様に「視認性が問題となるだけ」と誤解している受験生が多く居ます。

 似て非なる判例として、その違いを勉強しておくことは重要です。

 「視認性」のレベルでは同様といっても良いでしょうが、リノ事件はさらに登録商標「SHARP」がCPU(チップ)に付されていると認識されるのか、それとも、基盤に付されていると認識されているのかが問題となっています。つまり、商標「SHARP」が基盤に付されているとしか認識できない使用態様の場合、商標権の侵害は構成しません。

 この点、意匠法で言えば「意匠の利用(部品と完成品)」関係に近いのではないでしょうか。学習机事件の利用の定義の中の「他の構成要素と区別しうる態様において包含し」に対応するような考え方です。

 この機会に、「減速機付きモーター事件(意匠法)」と「リノ事件(商標法)」を比較し、その違いをしっかり勉強しておきましょう。

情報ソース
https://www.epson.jp/osirase/2014/141107_2.htm?fwlink=jptop_news_141107_2