SNS公開後の特許取得は可能?

2015年09月10日 21:46

 SNSへアイデアを投稿し、評判になった後、特許取得できるのでしょうか? 実際の事例はリンク先を参照ください。

 ニコニコ動画のアカウンを登録していないので、詳細を把握できていませんが、外観から技術内容が把握できると思えますので、既に新規性喪失しています。よって特許を受けることはできません(29条1号)。

第二十九条  産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
一  特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明


 しかし、発明者(特許を受ける権利を有する者)は、SNSへの投稿日から6月以内に所定の手続きを伴う出願をすれば、特許を受ける可能性が残っています。

第三十条  特許を受ける権利を有する者の意に反して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項各号のいずれかに該当するに至らなかつたものとみなす。
2  特許を受ける権利を有する者の行為に起因して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明も、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、前項と同様とする。


 また、本事案では、特許法ではなく意匠法による権利化も可能だと思います。

 特許の場合と同様にSNSへの公開から6月以内に所定の手続きを伴う意匠登録出願をすれば、意匠権を得る可能性があります。出願に当たり注意が必要なのは、動的意匠の出願をする必要がある点です(意6条4項)。

第六条
4  意匠に係る物品の形状、模様又は色彩がその物品の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。


 少々難しい問題として、そもそもSNSへの投稿時に権利化を望んでいない発明者(意匠の創作者)は、特許(意匠登録)を受ける権利を有する者であるとし特30条の要件を満たすのか? といった疑問です。

 この点、新規性喪失の例外規定(特30条等)には、特許を受ける権利を有する者には、特許を受ける意思に関する要件はありませんので、問題なく所定の手続により特許を受ける可能性があると言えるでしょう。

情報ソース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150908-00000011-impress-sci

勉強会情報
https://www.mesemi.com/news/cafe%E5%8B%89-%E9%96%8B%E5%82%AC%E4%B8%AD%EF%BC%81/