29条の2か39条か?

2015年10月12日 18:02
 特29条の2と特39条の拒絶理由を通知できる場合、審査官はどちらの拒絶理由を通知するのでしょうか?
 
 特許法上、例えば意匠法の3条1項と2項や、29条と29条の2のような「いわゆる優先適用」の規定はありません。
 
 青本には以下の記載があります。
 
(青本19版、29条の2)
 なお、本条と三九条とは、後願を排除するという機能について見れば、同一事件に重複して適用することができる場合がありうるが、いずれを用いて後願を拒絶するかは審査官の自由である。
 
(青本19版、39条)
 ここにいう二上の特許出願とは、特許を付与すべき状態にある特許出願のことであり、他に拒絶の理由を有する出願は、重複特許の問題は生じないので本条の対象とはならない。
 
 共に青本の記載内容ですが、どちらが正しいのでしょうか?
 
 審査基準には、以下のように説明されています。
 
(審査基準、第三部「特許要件」、第四章「先願」)
 第29条の2の規定が本願に適用される場合は、審査官は、第39条の規定を本願に適用せずに、第29条の2の規定を本願に適用する。 
 
 二重特許を排除する39条の趣旨から考えても、39条まで「辿り着く」出願は「特許を付与すべき状態にある特許出願」であり、「他に拒絶の理由を有する出願」はその拒絶理由が通知されるものと解すのが妥当でしょう。
 
 条文の「位置」からしても、39条は、まさに特許要件の「最後の砦」ですね。
 
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