H26短答「損害賠償請求」の論点
H26年度の短答本試、第2問に「損害賠償請求(102条)」の問題が出題されています。
(事案) 特許権者甲は、物Aに係る自己の特許権を侵害した乙に対し、損害賠償を求める訴えを提起した。 乙は、侵害の行為を組成した物Aを販売しており、その数量等は以下のとおりであった。
・乙が販売した物Aの数量 1000万個
・乙が物Aの販売により得た物1個当たりの利益の額 8円
・甲が特許発明の実施に対し受けるべき物A1個当たりの金銭の額 5円
(ロ) 特許法第102条第2項の規定により算定した甲の損害の額は、1億円である。
(ハ) 特許法第102条第3項の規定により算定した甲の損害の額は、4750万円である。
(ニ) 甲が9000万円の損害賠償を請求した場合において、 乙が自己の侵害行為に故意又は重大な過失がないことを立証したときは、裁判所は、これを参酌して 甲の損害額を4500万円と認定することもできる。
基本事項としては、特102条は民709条がベースになっている点、同条1項と2項は損害の「額」に関する規定で、同条3項は実施料相当額としての最低限の損害賠償請求を認める規定である点、の理解を深めておくことが重要です。
特許法102条2項については、大合議判決が出ましたので、特102条は要注意条文と言えます。
【知財高裁平成25年02月01日】ごみ貯蔵機器事件
特許権者に,侵害者による特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には,特許法102条2項の適用が認められると解すべきであ(る)。
弁理士の論文本試で出るとすれば、特許法よりも商標法ではないでしょうか。先述の短答でも問われている4項を含め、1項から4項までの全ての「論点」を訊く問題が作れるからです。
以下、各項の論点を記載しておきます。時間を掛けて勉強しておきましょう。
1項: 相互補完関係の無い商品への商標の無断使用に対する損害額
2項: 権利者自らの実施(使用)の要否
3項: 損害不発生の抗弁(小僧寿し事件)
4項: 参酌による実施料相当額を下回る損害額の認定
情報ソース
https://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/pdf/h26benrisi_tan/question.pdf