H26短答「関連意匠」の論点
H26年度の短答本試、第48問に「関連意匠」の問題が出題されています。
(ロ) 本意匠イ及びその関連意匠ロが意匠登録された。このとき、ロが、イに類似しないことを理由として、ロの意匠登録について意匠登録無効審判を請求することができる。
10条1項は拒絶理由ですが無効理由ではない点が訊かれています。
短答、論文共に、条文通りの解答でOKです。論文では、更に、意匠法では訂正審判が無い点、および、関連意匠ロが別個独立に登録された場合に比して、存続期間の短縮、専用実施権の設定、権利の移転等で制約を受けるが、第三者の不測の不利益が無い点を理由として挙げると良いでしょう。
また、関連する論点としては、次の「変形」問題が想定されます。
(ロの変形) 意匠イ及び意匠ロが別個独立に意匠登録された。このとき、ロが、イに類似することを理由として、ロの意匠登録について意匠登録無効審判を請求することができる。
意匠イ及び意匠ロの出願人が異なる場合は、特に問題はありませんが、意匠イ及び意匠ロの出願人が同一の場合、意匠ロを関連意匠として出願していれば、無効理由を有さなかった点で問題が残ります。
先述の通り、意匠法には訂正審判制度が無いことから出願人に酷であることを理由に「無効とすべきではない」としてもよいし、存続期間が延びることや先述の制限が無いことから条文通り「無効とすべき」としても良いでしょう。
高度な答案としては、無効理由は有さないが、存続期間延長分は「権利濫用」で処理する、権利が分属した時点で無効理由を有する、等の論述も可能かと思います。
論文本試に向けて、どのパタンで書くのかを決めておきましょう。なお、短答では「条文通りに解答」するのが鉄則ですので、この点、お間違いの無いように注意してくだいね。
情報ソース
https://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/pdf/h26benrisi_tan/question.pdf