平成26年改正 商標法 29条

【現行法】 ・・・又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、・・・

【法改正】 ・・・又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権若しくは著作隣接権と抵触するときは、・・・

 著作隣接権との抵触が追加されています。短答で狙われやすい改正点です。著作隣接権は著作権法89条に規定されています。


第八十九条  実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。

6項 第一項から第四項までの権利(実演家人格権並びに第一項及び第二項の報酬及び二次使用料を受ける権利を除く。)は、著作隣接権という。

第九十二条  実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。

 著作隣接権との抵触とは、どのようなケースなのでしょうか?

 甲さんが作詞・作曲 → 当該作詞・作曲を乙(歌手)が実演 → 当該実演に依拠・類似した「音の標章」を丙が出願し登録 → 丙がテレビ放送で当該音の標章を広告に使用した場合を想定してみましょう。

 このケースでは、丙による当該登録商標の使用(音の標章を発する行為)をする権利と、乙(実演家)の放送権(92条)とで抵触が生じます。

[2条3項9号] 音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為


 「具体例」で説明できるレベルの理解力が無いと、短答試験の突破は難しいと言われています。このように自分で具体例を考え、条文に当て嵌めて見る勉強法は非常に有効ですので、強くお勧めします。