平成26年改正 意匠法 60条の12 第1項

【現行法】 なし

【法改正】 国際意匠登録出願の出願人は、国際公表があつた後に国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後意匠権の設定の登録前に業としてその国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対し、その国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知つて意匠権の設定の登録前に業としてその国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対しては、同様とする。

 「国際公表の効果」を規定しています。特許法で言うと65条で、条文上の違いは「又はこれに類似する意匠」にまで実施が広がっている点です。短答で狙われそうなポイントです。

 「出願公開」「国際公開」「国際公表」「国内公表」と似て非なる用語の正確な使い分けが必要ですね。良い問題とは思いませんが、引っかけ問題として出題されるかもしれません。短答試験の直前に、各用語が使用されている条文はチェックしておきましょう。それぞれ、特65条(64条)、特184条の9、意60条の12、特184条の9です。

 本条の登場で、試験勉強が進んでいる人の方が間違いやすくなるポイントがあります。設問として国際意匠登録出願が絡んだ時系列の問題です。これまでは、他の意匠登録出願がある場合は3条の2、および9条を検討し、公知事実がある場合は3条1項と2項を検討すると整理されていました。今後は、他の意匠登録出願が国際ルートからの出願である場合は、「国際公表」がされていることが前提となります。つまり、他の国際意匠登録出願が存在する場合は、上記の「4点セット」全てを検討する必要がでてきます。

 ここで、H26改正法の勉強が進んでいる人は、「国際公表がされているか否かが分からないのでは?」と思うかもしれませんが、60条の6により、意匠登録出願とみなされた出願は「必ず」国際公表がされていることになります。

【法改正】 第六十条の六
日本国をジュネーブ改正協定第一条(xix)に規定する指定締約国とする国際出願であつて、その国際出願に係るジュネーブ改正協定第一条(vi)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)についてジュネーブ改正協定第十条の規定に(3)(a) よる公表(以下「国際公表」という。)がされたものは、経済産業省令で定めるところにより、ジュネーブ改正協定第十条に規定する国際登録の日(以下「国際登録の日」という。)にされた意匠登録出願とみなす

 ジュネーブ改正協定10条には、国際事務局が出願を受けると不備がなければ直ちに登録し、登録は公表するとされています。本条も意匠法60条の12に関連する事項ですので短答試験での出題の可能性は高く、十分に目を通しておくことをお勧めします。