【最判平成12年02月24日】リノ事件

 本件CPUは、主基板に装着された後も、元の外観及び形態を保っており、それに付された本件商標は、ケースを通してもこれを視認することができた。リノは、中間の販売業者を通じてパチンコ店に販売され、その際、本体と主基板が別々に配送された後、パチンコ店で本体内の最上部に主基板が差し込まれるなどして組み立てられ設置されていた。主基板は、リノの本体とは別にパチンコ店に備え置く補修用部品としても販売され、リノの主基板が故障した場合にこれと交換されることもあった。主基板に装着された本件CPU及びそれに付された本件商標は、リノの外観上は視認することができないが、右のようなリノの流通過程において、中間の販売業者やパチンコ店関係者に視認される可能性があった

 【要旨】以上の事実関係の下では、本件商標は、本件CPUが主基板に装着され、その主基板がリノに取り付けられた後であっても、なお本件CPUについての商品識別機能を保持していたものと認められるから、前記起訴に係る被告人らの各行為について、商標法(前記改正前のもの)七八条の商標権侵害の罪が成立するとした原判決の判断は、正当である。