判例の宝庫(下級裁)

【知財高裁平成20年05月29日】ガラス多孔体及びその製造方法事件

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発明とは,自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものをいうと規定され(特許法2条1項),産業上利用することができる発明をした者は,・・・その発明について特許を受けることができると規定され(同法29条1項柱書き),また,発明は,その技術内容が,当該の技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されたときに,完成したと解すべきであるとされている(最高裁昭和52年10月13日第一小法廷判決民集31巻6号805頁参照)。したがって,発明者とは,自然法則を利用した高度な技術的思想の創作に関与した者,すなわち,当該技術的思想を当業者が実施できる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者を指すというべきである。当該発明について,例えば,管理者として,部下の研究者に対して一般的管理をした者や,一般的な助言・指導を与えた者や,補助者として,研究者の指示に従い,単にデータをとりまとめた者又は実験を行った者や,発明者に資金を提供したり,設備利用の便宜を与えることにより,発明の完成を援助した者又は委託した者等は,発明者には当たらない。もとより,発明者となるためには,一人の者がすべての過程に関与することが必要なわけではなく,共同で関与することでも足りるというべきであるが,複数の者が共同発明者となるためには,課題を解決するための着想及びその具体化の過程において,一体的・連続的な協力関係の下に,それぞれが重要な貢献をなすことを要するというべきである。

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