H27論文本試・特許法Ⅱ(1)

2015年08月26日 23:34

 問題文を読み進んでいく途中で「BBS事件(真正商品の並行輸入)」を訊いていることに気づいたことと思います。

 また、「どのようなことをしていた必要があるか」との問いですので、BBS事件の「要件」の再現が問われていることも分かります。

<BBS事件>
 我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲渡した場合においては、特許権者は、譲受人に対しては、当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨を譲受人との間で合意した場合を除き、譲受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては、譲受人との間で右の旨を合意した上特許製品にこれを明確に表示した場合を除いて、当該製品について我が国において特許権を行使することは許されないものと解するのが相当である。
 すなわち、(1) さきに説示したとおり、特許製品を国外において譲渡した場合に、その後に当該製品が我が国に輸入されることが当然に予想されることに照らせば、特許権者が留保を付さないまま特許製品を国外において譲渡した場合には、譲受人及びその後の転得者に対して、我が国において譲渡人の有する特許権の制限を受けないで当該製品を支配する権利を黙示的に授与したものと解すべきである。


 「簡潔に述べよ」とあるので、記載量に注意する必要がありますが、「日本国外で販売したことを考慮しても」とあることから、消尽(国内)との対比により並行輸入の要件定立をする方がベターでしょう。

 また、設問では当事者乙から丙が輸入する問題ですので、BBS事件の「第二要件(第三者およびその後の転得者)」は題意から外れる可能性があるので記載方法の工夫が必要です。

 答案構成(項目立て)は以下になります。
 

設問(1)について、
1.国内販売の場合(二重の利得機会論)
2.国外販売の場合(黙示の合意論)
(1)合意
(2)表示
3.本問では、…(当て嵌め、結論)



 判例や青本の再現は頻出問題ですが、「設定された事例を良く理解した上で適切な再現をする」ことが重要ですね。

情報ソース
https://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/pdf/h27benrisi_ronten/shiken_jitsuyou.pdf

勉強会情報
https://www.mesemi.com/news/cafe%E5%8B%89-%E9%96%8B%E5%82%AC%E4%B8%AD%EF%BC%81/